宿を探して「ペット可」と書いてあった。それで予約して、当日行ってみたら「その大きさの子はお断りしています」と言われる。犬連れの旅行でいちばん多いつまずき方が、これです。
「ペット可」は、条件の要約であって、条件そのものではありません。この記事では、その中身にどんな違いがあるのか、予約の前に何を確かめればいいのか、当日に何が要るのかを整理します。
「ペット可」に隠れている6つの条件
実際の宿の記載を集めると、次のような条件が出てきます。どれか1つでも外れると泊まれません。
① 大きさ
「小型犬のみ」が最も多い制限です。中型犬まで、大型犬も可、と段階があります。厄介なのは基準が宿ごとに違うことで、体重で切る宿(10kg以下など)、体高で切る宿、「抱きかかえられる大きさ」という書き方をする宿があります。うちの子がどちらに入るか微妙なときは、体重と体高を伝えて確かめるのが確実です。
② 頭数
「1室1頭まで」「2頭まで」という制限です。2頭目から料金が変わる宿もあります。多頭飼いの場合は、ここが最初の関門になります。
③ 部屋の種類
宿全体がペット可なのではなく、特定の棟や部屋だけが可、という形が多くあります。「ペットOKの棟は木立ハウスのみです」といった書き方です。この場合、その部屋が埋まっていれば、宿に空きがあっても泊まれません。予約サイトで「空室あり」と出ていても、ペット可の部屋とは限らない、ということです。
④ 専用プラン
「ペット同宿には規約同意のうえ専用プランからお申し込みください」という宿があります。通常のプランで予約してしまうと、犬を連れて行けません。予約し直しになるので、プラン名にペットの記載があるかを見てください。
⑤ 追加料金
1泊1頭いくら、という形が一般的です。清掃費として別立てにしている宿、犬用のアメニティ込みの宿があります。宿泊料金の表示にはたいてい含まれていないので、予算を見るときは足して考える必要があります。
⑥ 入れる場所
部屋の中だけか、館内を歩けるか、食事処に同席できるか。「屋外のみ」——つまり専用の犬舎やテラスで、室内には入れない——という宿もあります。一緒に寝たいのか、預けられる場所があればいいのか。ここは期待と実態がずれやすいところです。
当日に要るもの
ペット可の宿は、ほぼ例外なく予防接種の証明を求めます。
狂犬病予防注射済票
これは法律上の義務です。狂犬病予防法により、生後91日以上の犬は年1回の予防注射と、市区町村への登録が義務づけられています。注射を受けると「注射済票」が交付されるので、これを持参します。
混合ワクチンの接種証明
こちらは法律上は任意です。ただし宿泊施設やドッグランでは、接種証明の提示を求めるところが多くあります。「1年以内の接種」を条件にしている施設が一般的です。
病気やアレルギーで打てない場合は、獣医師が発行する猶予証明書を受け付ける施設があります。該当する場合は、予約時に相談しておくと当日あわてずに済みます。
そのほか持って行くもの
- ケージまたはキャリー(部屋に置く指定がある宿があります)
- クレートに慣れていない子の場合、慣らしておく時間
- 食器、フード、水(フードは宿では用意されないのが普通です)
- タオル(足を拭く。雨のあとは特に)
- 掃除道具とビニール袋(粗相したときに自分で対応できると早い)
- 普段のにおいがついたもの(毛布やタオル。落ち着きやすくなります)
宿での過ごし方で、トラブルになりやすいところ
吠え
いちばん多い苦情です。慣れない場所、隣の物音、廊下の足音。家では吠えない子でも吠えます。部屋を選べるなら、端の部屋や、隣室との間に水回りがある部屋が無難です。予約時に「静かな部屋を」と伝えておくと配慮してもらえることがあります。
留守番
部屋に犬だけを残せない宿がかなりあります。食事のあいだや、大浴場に入るあいだをどうするか。犬用のケージに入れておけばよい宿、預かりサービスがある宿、そもそも不可の宿があります。夕食を部屋食にすれば留守番は不要になるので、この点でも部屋食は有利です。
ベッドと家具
ベッドに上げてよいかは宿によります。不可の宿で上げてしまうと、クリーニング代を請求されることがあります。気になる場合は、自分用のカバーやシーツを持って行く手もあります。
抜け毛と粗相
帰り際に自分で掃除できると、宿にも次の人にもいい形で終われます。粘着ローラーを1本入れておくだけでかなり違います。粗相してしまったときは、隠さずフロントに伝えるほうが結果的に穏当に済みます。
予約の前に、この順で確かめる
条件が多いので、順番を決めておくと早く済みます。変えようがないものから先に見ます。
① うちの子が条件に入るか
大きさと頭数です。ここが外れると、ほかがどれだけ良くても泊まれません。しかも当日まで気づかないと、行ってから断られることになります。体重と体高を具体的に伝えて確かめるのが確実です。
② ペット可の部屋が空いているか
宿に空きがあることと、ペット可の部屋が空いていることは別です。専用プランからしか予約できない宿もあるので、プラン名を見て、ペットの記載があるものを選びます。
③ 留守番できるか
食事と入浴のあいだ、犬をどうするか。ここが決まらないと、当日の段取りが組めません。部屋に残せない宿なら、部屋食にするか、交代で動くことになります。
④ 追加料金と持ち物
最後に料金と、ケージなどの持ち物です。ここは分かってしまえば対応できるので、優先度は下がります。
よくある質問
猫は連れて行ける?
「ペット可」の多くは犬を想定しています。猫も可の宿はありますが、記載を確かめる必要があります。「小型犬・猫に限ります」のように明記している宿もあります。鳥や小動物になると、さらに限られます。
室内で放していい?
宿によります。ケージに入れておくことを条件にしている宿、部屋の中なら自由な宿があります。家具や寝具に上がってよいかも別に確かめてください。
ドッグランがある宿を選べばいい?
あると便利ですが、それだけで選ぶと他の条件を落とします。ドッグランがあっても、室内に入れない宿や、部屋の種類が限られる宿があります。ドッグランは「あったら嬉しいもの」で、大きさ・頭数・部屋のほうが先です。
直前に予約できる?
ペット可の部屋は数が限られるので、埋まるのが早い傾向があります。連休や週末は特にそうです。行き先を決めたら、早めに押さえておくほうが確実です。
宿までの移動は?
公共交通機関では、犬はキャリーに入れて手回り品として扱われるのが一般的です。大きさや料金の決まりは事業者ごとに違うので、鉄道会社やバス会社の案内を確かめてください。車なら気は楽ですが、休憩の場所と時間を多めに見ておくと安心です。
子どもと犬を一緒に連れて行くとき
このサイトは家族旅行を扱っているので、この組み合わせにも触れておきます。
条件が二重にかかります。「ペット可の部屋」であり、かつ「その人数が入れる部屋」である必要があります。ペット可の部屋がツインしかない宿だと、4人家族は入れません。数が少ない条件どうしの掛け算なので、選択肢は一気に絞られます。
だから先に人数とペットの両方を入れて検索するのが確実です。どちらか片方で探して、あとからもう片方を確かめると、たいてい消えます。
もうひとつ、犬がいると大浴場に行きづらくなります。部屋に犬を残せない宿だと、親が交代で入ることになり、子どもと一緒に入るという話がそもそも成立しません。貸切風呂があると、時間を区切って家族で入れるので、ここでも効いてきます。
行き先を決めるときに効いてくること
温泉地は相性がいい
ペット可の宿は温泉地と高原に多い傾向があります。離れやコテージのある宿が多く、独立した建物ならペットを受け入れやすいためです。九州では阿蘇、湯布院、天草、日田・九重あたりに集まります。
都市部のホテルは条件が厳しめ
駅前のビジネスホテルにもペット可はありますが、専用プラン限定、小型犬のみ、ケージ必須といった条件が付くことが多くなります。建物の構造上、他の客と動線を分けにくいためです。移動のついでに1泊するなら選択肢になりますが、犬とゆっくり過ごすことが目的なら、郊外のほうが向いています。
夏の車移動に注意
九州は夏が長く、日中の車内温度が上がります。サービスエリアで車に残すのは危険なので、休憩は犬も降ろせる場所を選ぶ前提で計画を立ててください。ペット可の休憩所があるサービスエリアも増えています。
九州で探すなら
このサイトでは、楽天トラベルの施設情報に「ペット同宿可」などの記載がある宿を一覧にしています。ペットと泊まれる宿——家族の人数で泊まれるかも一緒に から見られます。
条件は宿ごとに違うので、書かれていた文言をそのまま添えています。「ペットOKの棟は◯◯のみ」「1泊1匹につき◯円」といった記載を、要約せずに載せているのは、要約すると大事な条件が落ちるからです。
あわせて、家族が何人で1室に泊まれるかも出しています。上に書いた「条件が二重にかかる」問題を、一度に見られるようにするためです。貸切風呂の有無と和室かどうかも付けています。
ペット可とも不可とも読める記載の宿は、載せていません。誤って連れて行くことになりかねないからです。
まとめ
- 「ペット可」は要約。大きさ・頭数・部屋・プラン・料金・入れる場所の6つを個別に確かめる
- 部屋が限られることが多い。宿に空きがあっても、ペット可の部屋が空いているとは限らない
- 狂犬病予防注射は法律上の義務。混合ワクチンは任意だが、宿は証明を求めることが多い
- 留守番できない宿がある。食事と入浴の段取りを予約時に考えておく
- 子どもと一緒なら条件が二重。人数とペットを同時に入れて検索する
犬を連れて行けるかどうかは、行き先を決める前の段階で効いてきます。だからこそ、早い段階で条件を読み解いておくと、あとが楽になります。
なお、ペットに関する記載は楽天トラベルの施設情報によるもので、当サイトが現地で確かめたものではありません。条件は変わることがあるので、予約の前にかならず宿へご確認ください。